極み見聞録

【Hacoa DIRECT STORE Vol.1】越前漆器の木地職人が仕立てる、木のデザインアイテム

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”見えないとことも美しく仕立てる” 伝統工芸の丁寧な技術を継承

1962年、越前漆器の産地である福井県鯖江市で、塗りの前の段階である木の器“木地”をつくる木地師として、Hacoaの母体である山口工芸は創業しました。当時はお膳やお盆、重箱などの箱ものを主に仕立てていたため「お膳大工」と呼ばれていたといいます。

創業者である山口怜示氏は伝統工芸士として認定されていて、さらに長年にわたる地域産業への貢献から、2010年には瑞宝単光章を叙勲受賞された熟練の木工職人です。木地は漆を塗ってしまえば見えなくなるものですが、美しくなめらかな下地であるかどうかは、漆の塗りやすさ、ひいては塗りの仕上がりを左右するもの。とくに山口氏は“次に仕事をする人のことを考えた”丁寧な作業が評判で、たとえ小さなパーツであっても、美しさを追求し続けました。また、そういったモノづくりへの愛情とこだわりは、若手の職人たちへと受け継がれていくこととなります。

「Hacoa」ブランドの誕生。モノづくりを愛する職人が集まる工房へ

Hacoaブランドが誕生したのは、2001年。職人が減少し続けている状況を改善しようと、伝統技術を継承するためのプライベートブランドを設立したことがきっかけでした。もともと箱ものを得意としていたことから、ブランド名は「Hacoa」に。さらに、これからの時代にフィットする価値観やこだわりを創り上げるため、木でできたUSBメモリやキーボードなど“木でつくるという発想のなかった”アイテムの企画もスタートさせていきます。

現代の装いに似合うデザイン性を重視した木のアイテムは瞬く間に話題を呼び、Hacoaは木にこだわるお洒落、という新しい価値観を根付かせていきました。モノづくりを愛する若手職人からの注目も高く、現在では狙い通り、全国から職人希望者が集まる工房となっています。2008年には社屋を新設し、洗練された空間へとリニューアル。社屋には初の直営店となる「Hacoa DIRECT STORE 福井店」も併設されて、職人たちが消費者の方と対話をしながら、刺激を受け、モノづくりのやりがいを実感できる環境となりました。

ガラス張りの工房で、”見られて恥じることのない”モノづくりを

Hacoaのモノづくりは一般的な木工工房とは異なり、一つの商品に対して一人の職人が、完成まで全ての工程を担当しています。ライン分業制をとらないことでアイテムへの責任感や愛着がわき、手仕事でありながら一つひとつの規格が揃った、クオリティの高い仕上がりになるからです。また、工房は外からでもよく見渡せるガラス張り。「技術に対してどう憧れてもらうか」と見え方にこだわった工房では、洗練された雰囲気の職人さんたちが、“見られて恥じることのない”仕事に誇りをもちながら作業を進めています。

創業者である山口氏から受け継いだこだわりと技術は、アイテムの隅々に垣間見えます。たとえば、トレーや箱ものの四隅。木材の端を斜めに加工して継ぎ合わせる「留め」という技術が用いられていて、見た目の美しさが引き立っています。さらに仕上げはどれも手磨きで、手触りの良さを確かめながら仕上げていくのだそうです。

地域の技術を継承しながらも、これからの暮らしに合わせたモダンなアイテムを提案しているHacoa。次回の記事では、そのデザインと技術について、より深くご紹介していきます。

店舗詳細

2F

Hacoa DIRECT STORE

営業時間
10:00~21:00
TEL
06-6575-9473