極み見聞録

【金子眼鏡店 Vol.2】一本一本、職人の手で生み出されるカタチと艶めき

愛用者の多い金子眼鏡の代名詞ともいえる、深みのある鼈甲模様や艶めきの秘密。いまでは取り扱う職人が少なくなった「素材」や、手仕事でのモノづくりについてご紹介します。

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美しさのための手間を惜しまない、人の手で仕上げられた眼鏡

金子眼鏡で作られる眼鏡には、鼈甲のような光沢を纏った素材「セルロイド」を使用したセルフレームと、チタンを使用したメタルフレームがあります。金子眼鏡ときいてまず思い浮かぶセルフレームの眼鏡は、鯖江市にある自社一貫工場「BACKSTAGE」で製造されたものです。

工場内を見学させていただいて驚いたのは、その一本一本が、職人による手仕事だということです。切削・加工・研磨・組み立てなど、工程ごとにわかれた作業場は“工場”というオートメーションな印象とは程遠く、手間と情熱を惜しまないモノづくりの現場がそこにはありました。ごく小さな金具の組み立てやロゴの箔押しといった作業も、金子眼鏡では人の手を経て仕上げられているのです。

「金子眼鏡のオリジナリティがなくなることはありません。私たちのアイウェアに対する思いが、決してなくならないように」。BACKSTAGEの建築デザインにも、その心意気は垣間見えます。余計なものがなく、ただ純粋にモノづくりと向き合う格好よさ。それが、金子眼鏡の魅力の原点なのです。

「深みのある存在感」をつくるために欠かせない素材

フォーマルなスタイルにも似合う、落ち着きのある絶妙なカラー。金子眼鏡が愛されているのは、その代名詞ともいえるセルフレームの風合いにファンが多いからでもあります。しかしながら、その風合いを生み出しているセルロイドという素材は、可燃性が高く取り扱いが難しいもの。今ではほとんどのメーカーが加工しやすいアセテート素材を用いているなかで、金子眼鏡ではあえて昔ながらのセルロイドを使い続けているのです。そのため工場のいたるところには、水で満たしたバケツが防火のため置かれているのを目にしました。板状の素材から一つひとつ手作業でパーツを削り出している金子眼鏡では、切削や研磨時の熱で引火する可能性もゼロではありません。それでも、素材を削る指先ひとつ、置かれたバケツの水ひとつに、本当に“つくりたい”“届けたい”と思えるモノづくりへの姿勢が表れているようです。

セルロイドを加工する工場がほとんど残っていないなかで、さまざまなセルロイド生地がストックされているBACKSTAGE。ときにはデザインに合わせたオリジナルカラーをつくることもあるのだそうで、取り扱う生地の種類は日本一かもしれません。また、セルロイドは経年による変化や劣化が少なく、加工がしやすい他素材と比べるとその差は歴然。デザイン的な理由だけでなく“長年愛用していただける眼鏡”をめざすブランドだからこそ、素材選びには一切の妥協がないのです。

2〜3日もかけて磨きあげる、上品で洗練された艶めき

一枚の板から削り出し、顔にフィットするようカーブをつけ、丁寧に細やかに磨く。溶かした樹脂を流し込んで成形した量産品とは異なる、肌あたりの良さや存在感、ぬくもりは、手仕事だからこそ生みだされる特別な魅力です。

また、眼鏡づくりにはたくさんの作業工程がありますが、とくに金子眼鏡がこだわっているのは“磨き”の行程で、ひとつの眼鏡を仕上げるために2〜3日も費やすのだといいます。板から削り出したガサガサのフレームが、水晶のように滑らかな光沢を放つまでには、回転するドラムに入れて大まかな角を取り除いた後、職人の手磨きで艶を出していくという、ふたつの磨き工程を経ています。手磨きでは、キメ細やかな泥を含む羽布(バフ)にフレームを当てて、細部まで磨きこんでいたのが印象的でした。眼鏡をかけたときに、しっとりと馴染んで佇まいを引き立てる美しい艶は、そうした丹念な作業の積み重ねがあって、はじめて宿るものなのです。

金子眼鏡の人気を支える、モノづくりへの想いと技術力。次の記事では、この技術力が支える「デザイン」についてご紹介していきます。

店舗詳細

2F

金子眼鏡店

営業時間
10:00~21:00
TEL
06-6710-9136